2008年11月3日月曜日

11/3 卒業式の1ヶ月前(トモ)

ついに卒業式まで残り1ヶ月となりました。

残り2週間のICPに土日も学校にきて忙しくしているチームもあれば、早々と終了し学校にはランチのためだけにくる生徒もいます。就活の状況はといえば、Offerをもらった生徒は正式な契約を結ぶ段階にきているようです。おそらく再来週から選択科目の授業が開始するのでその前には、ということでしょうか。一方では遅々としてすすまない面接プロセスを根気強く進めている生徒も多くいます。各人それぞれの状況の中でなんとなく忙しない日々をすごしながらも、残り1ヶ月という事実だけは全員平等に課せられた現実です。

先週の金曜日と今日、IPE(Internaltional Politics & Economy)のクラスを担当したJean-Pierre LehmannからIMDのマネジメントならびにMBAの生徒にむけてメールが送られてきました。内容はMBAの校舎のまわりの樹木を取り除き新たにつくられた駐車場についてです。彼のメールは冒頭から、樹木がなくなったのを見て今年これほどまで怒り心頭に達した経験はない、と強い口調ではじまり、21世紀における"進歩"とは、多くの樹木や自然とより少ない車とコンクリートであり、IMDのこの行為は"Vandalism(公共の破壊)"であると厳しく糾弾しています。

その上で現在の金融バブルの崩壊も、金融システムの破綻ではなく、現在の社会が有する価値観や社会システムそのものの限界を示すものであり、現在の方向のまま今後も世の中がすすめば、「最善の場合でも、唯物主義的な価値観から、より精神的な事柄、人と人との関係や人間性に着目した価値観への転換が起こるだろう(Perhaps the most optimistic scenario that could come out of this great disruption is a major shift in values, less materialism, more attachment to spiritual issues, to relationships, to humanity)」と警鐘をならしています。

このメールをもらったときMBAの大半の反応は、JP(Jean Pierreのこと)はいったいどうしちゃったんだろう?、的な半ば失笑ともとれる態度が、少なくとも表向きは多かったようです。ただ、たしかに自然の代わりにMBAの校舎の周りに現れた新しい駐車場を通り過ぎてみると、こうした態度こそがJPの危惧しているものであり、根本的なところから考え直さなければならない時期が来ている、というJPのメッセージはJP的なProvocative(挑発的な)な内容ということを差し引いても本当に考えなくてはならないのかもしれないのかなぁ、とふと哲学したりしてしまっています。秋ですから。

こんなことを呑気に考えていられるのも残り1ヶ月。サラリーマン生活に戻ったら考えることのないかもしれない"よしなし事"を、IMDという知的刺激には事欠かない環境で考えてみるのも、残り1ヶ月の贅沢な過ごし方かもしれないなぁ、という心境の今日この頃なのでした。