2008年12月30日火曜日

12/30 思うところ2 (トモ)

第二に思うところは、IMDでの1年間は学ぶ期間ではなく忘れる期間だった、ということです。

IMDのMBAコースは、卒業後にGeneral Managementにつくことを想定し設計されており、最初の半年には基礎科目(Building Blocks)として、戦略、マーケティング、財務・会計、組織開発、といった経営に必要な最低限の知識を習得できるようになっています。MBA修了後には、ビジネスケースを戦略的な視点、財務的な視点、組織・人事的な視点など様々な観点から総合的に判断できるようにはなっています。

しかし、今年学んだことを聞かれても、『業界の成功要因(Key Success Factor)に基づいて企業固有の強み(Core Competency)の有効性を判断し、NPV(Net Present Value)から中長期的な企業価値を戦略的に判断することができるようになりました』みたいな上滑りな答えはとっさに思い浮かばず、僕の口をついてでるのは「なんにもできなかった(無力感)」「とにかく疲れた(疲労感)」「結局のところよくわからなかった(困惑感)」といったダメダメ感いっぱいの感想のみです。

もちろんこれは僕個人の私的な感想ですし、90人の中には当然異なる感想もあるとは思うですが、少なくとも僕にはこの感想が僕一人だけのものとは思えません。むしろIMDの1年間で挫折を感じなかった生徒は皆無だと断言できます。そして僕個人の場合には、一言で言えば、”今までやってきたやり方では今後通用しない”ということを学びました。自分の知識や経験がいかに限られた範囲のものであるかを痛感するとともに、興味や関心の持ち方でいかに知識や経験の幅を広げられるかも学びました。今までの知識・経験をリセットできた、というと聞こえが良すぎるかもしれません。実際には自己嫌悪と他者憎悪を行き来しながら極度の精神的な負担を誤魔化しつつ、あまり使うことのなかった脳のある部位にアクセスし、今までつむぎあげてきた回線を一旦はずして改めてつなぎなおしていくつらいつらいつらーい作業です。そうした容易ではないことをIMDの1年間を通じて学んできた、というよりむしろUnlearningしてきたよう思います。

格好良く言えば、『IMDでは「無知の知」を学んできました』ということになるかもしれませんが、周囲からすれば「高い金かけてなんじゃそれゃ」という結論であり、あまり世の中的には受けないなぁ、と思うのでありました。