2008年7月2日水曜日

7/2 アフリカ旅行の感想1 (トモ)

6月20日から6月30日までの旅程でDiscovery Expeditionでアフリカのケニアに行ってきました。多くのゲストスピーカーのプレゼンや各所の視察を通じ、政治、経済、社会、文化といろいろな角度からケニアについて考える機会を与えられました。帰り道にみんなと面白かった内容・つまらなかった内容を話したのですが、各人の興味により評価も様々であることもわかりました。BenoitのClosing Speechのとおり、このDiscovery Expeditionは自分の知らない外の世界の発見であるとともに、自分の中にある未知の世界の発見でもあったのだと思います。備忘録もかねて自分が個人的に面白いと感じた内容についていくつか記しておきたいと思います。

6月25日午前、Equity BankにてCEOのMr. James Mwangiのプレゼンを聞きました。Equity Bankは、従来銀行口座をもてなかった低所得者を対象にに金融サービスを提供するマイクロファイナンスで急成長を遂げています。土地や家屋を有さない低所得者は一般の銀行から融資を受けることはできません。そこでEquity Bankでは、たとえば未亡人であれば信仰心が高いことに着目し地域の教会の神父さんを、未成年の男性であれば叔父があらゆる進路の相談役となる社会的風習に着目し叔父を保証人とするなど社会の仕組みに注目し独自のビジネスを展開しています。

Equity Bankがマイクロファイナンスを通じて利益を上げているだけでなく、低所得者の生活レベルの向上に貢献していることに大変感銘を受けました。多くの企業がCSRの重要性を訴えている中で、マーケティングの一環として後付的に、時には偽善的とさえ感じさせるケースも見受けられます。 しかしEquity Bankの場合は、ビジネスそのものが価値の創造と社会の貢献を両立させるモデルになっていると感じました。このモデルにはCEOのJamesの価値観が強く反映されているよう印象を受けました。彼は”An organization cannot be better than its leader”と述べ、リーダーとして公共の利益を考えることで自らを人格的に高める必要性を感じているよう見受けられました。こうした彼の価値観が市場や社会に価値を提供するだけでなく、従業員にも生き甲斐を与えているように思います。女性役員の一人が”The bank gives me a reason to live”と言っていたのが大変印象的でした。

Jamesはプレゼンの最後にケニアが抱える課題として”Decolonize(脱植民地化)”を挙げていました。『ヨーロッパによるアフリカの植民地化で多くの人が自尊心(Self-Esteem)を失っており、アフリカ人としての誇り(Pride)の再構築が重要である』と述べていました。他のゲストスピーカーも『何でもか何でもすべて植民地時代のせいにするのはそろそろやめるべきだ』という意見が若者の間から出てきているということを指摘していました。いずれにしてもアフリカの心は独立から50年近く経った今でも深く傷ついたままなのでしょう。そしてJamesはEquity Bankというビジネスを通じ、植民地時代のことを忘れるのではなくアフリカ人としての誇りを取り戻すことで過去を乗り越えようとしているように感じました。

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