2008年7月3日木曜日

7/3 アフリカ旅行の感想2 (トモ)

6月26日、Nairobiから車で2時間ほどのNaivashaにて、生花ビジネスを営むHomegrownを訪問しました。 生花ビジネスはケニアの重要な輸出品目であり、欧州市場にてトップシェアを握っています。

Homegrownは、生花育成に最適な日光の強さ(intensity)を有するNaivashaの地の利を活かし、精緻なサプライチェーンと低人件費により国際競争力を獲得しています。生花の種類ごとに育成方法や注意点、カット方法などが異なり、従業員の長期的な技能向上が重要となるため、Homegrownでは従業員の7割を正規雇用としているそうです。このような遠隔地においても、優秀な人材の確保、絶え間ないカイゼンとInnovationを追求することで国際競争力を保っていることに本当に驚かされました。

特に記憶に残っているのは、HomegrownのGeneral ManagerであるMr.Wemer Griesselが、経営における重要項目として"Sustainability"を掲げていたことです。Naivashaの生花ビジネスはLake Naivashaの水に依存しているため、湖の周辺をとりまく自然環境の保護が必須となります。従来は地面に吸収されて地下から湖に戻っていた雨水が、近年では森林伐採により地表を流れ土と一緒に湖に流れ込むようになっているとのことです。森林伐採の背景には利益率の高いコーヒー・茶の農地の開拓、薪、住居空間の確保などがあり、現在のペースでは将来的にLake Naivashaがなくなることは確実だそうです。

そこでHomegrownを含むLake Naivasha Growers Groupでは、Lake Naivashaの水の利用量に応じて農家に課金することで効率的な水の利用を促すだけではなく、上流地域の社会と協力してお互いに繁栄を維持できる方法を模索しているそうです。更には、いくつかの農園では敷地内に独自の汚水処理施設を設置しLake Naivashaに綺麗な水を戻すようにしていました。政府の規制や援助金などは一切ないためすべての農家に汚水処理施設の設置を強制することはできなくても、100年、200年先のビジネスと自然環境のSustainabilityを考慮し、一般的には政府がすべきと考えられる市場の失敗にも自発的に対応しています。

19Cから20Cにかけて「未開な人々を文明化する行為である」という"高邁"な理由によりアフリカの植民地化は正当化されていました。現在はグローバライゼーションの名の下に、世界中にあり余る金融資本が投資先を探してアフリカの奥地にまで流れ込んでいます。Homegrownもその流れの一部ともいえます。Homegrownのビジネスは、アフリカの郊外までもグローバルの市場システムに関与させ、長期的かつ全体的な視野を通じて自然環境の保護とビジネスの発展を両立させようと試みています。こうしたグローバライゼーションは後世においてどのように評価されるのでしょうか。

現在のところグローバライゼーションについて、世界規模で貧困層を搾取する新たな植民地政策と糾弾する意見もあれば、技術と富の分配を促す傾向と支持する意見もあります。少なくともHomegrownのケースはグローバライゼーションの素晴らしい可能性を示しているように感じました。

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